恋人という存在
恋人という存在が私の周りから消えて既に数年経つ。同棲を解消してから何故か新しく恋人を作る気力がないのだ。
別れた恋人のことを今でも想っているかといえば、それはまずない。私と恋人は最後にはひどい大喧嘩をし、罵り合って別れた。そこに至る過程もひどい物だったし、よりを戻すなんて考えられない。だから強いて言えばそこまでいたる過程に疲れてしまい、新しい恋愛関係を築くのが億劫になってしまっているだけだと思う。
同棲は離婚ほど煩雑にならず解消できると書いたが、確かにそれはそうだ。私も恋人も何の届出をもって同棲を始めたわけでも、解消したわけでもない。しかしながら解消に至るまでの過程で消耗した体力を考えると、やはり簡単に解消したとは言いがたい。その面で時々自分はバツ1みたいに感じるが、そういってしまうと実際に離婚を経験した人たちに失礼だろうか。
ぼんやりと過ごす週末や予定のない休日、無性に寂しい日、退屈な時は、新しい恋人がいればいいのにと思う。一緒に話たり、どこかに出かけたり、きっと楽しいのではないだろうか。
だけれども思う。付き合いが長くなってくるにつれ、仮に一緒に住まないにしても、最初は見えなかった色々な側面が見えるだろうと。そうしたら今度はどうなるのだろうか。砂糖壷から砂糖を直接食べる人はなかなかいないだろうが、誰だって何かそれに匹敵する物を持ち合わせているだろうし、そういう時は今度はどうすればいいのだろう。喧嘩しないで一緒に暮らすなんて無理だと思う。だけど、喧嘩なんてしたことがないというカップルもいる。一体どういうことだろう。
結局私は頭で考えるだけで、新しい恋人を探そうとも作ろうともしない。だからいつでも一人で、何をするでもなくぼんやりと考えているだけだ。誰かがいてくれればいいのに、と思う反面、しかしこの気楽な生活も悪くないな、煩わしいことなんてないし、自分のことだけしていればいいし、とも思う。けれども万が一恋人ができればそんな風には思わなくなってしまうのも私は知っている。ずっと恋人のことばかり考えてしまうだろう。恋人とはそんな不思議な存在だ。
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